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荻窪 鈴木青果店の梅干しちょっと良い話

梅干し作りの日記 1999年


5月30日 今年の入荷

今年も例年通り、5月の下旬から梅の入荷が始まりました。


まず一番手は、小田原蘇我梅林産の”白加賀”
次に、例年よりも早い出荷の和歌山みなべの”南高梅”
出回り時期の狭い山梨の”甲州最小”
同じく山梨は境川、こまのの”白加賀”

いよいよ今年も梅干し作りのスタートです。
今年は、からっ梅雨なので「梅干しを作ろう」という気分に
なかなかなりませんでしたが、
市場に梅が入荷されてくると、燃えます。


予想外だったのは、南高梅の入荷が早かったことです。
例年は6月中旬頃が入荷のピークですが、
今年は出来が良いのか悪いのか、早かったです。


6月1日 漬け込み時期予想

毎年一番手の梅をみて、その年の漬け込みを
予想をするのですが、この時点ではわからなかったです。

梅や同時期の辣韮は、自然の”なりもの”なので、
タイミングと勘で、仕入時期を決めます。

どれだけ良いものが出回ってくるか?を判断しなくては、
お店に来ていただいたお客様に
申し訳が立たないからです。ちょっと真面目。


でもお客様の立場になったらここ重要ですよね。
一年に一回しか出回り時期がないし、
”失敗すると悪いことがおきる”なんていう迷信もありますし・・・。
一番良いコンディションのものを漬けていただくと、
売る側も梅も幸せです。


「今年初めて漬けるんですけど」なんて聞かれると、
俄然張り切ります。お客様が若いお嬢さんだと
なおさらです。(^-^)将来有望です。

6月2日 梅の熟度

梅の熟度で、使う用途も変わってきますし、
なかなか梅は難しいものです。

例えば、真っ青な梅は梅酒・梅ジュース、
黄みがかった梅は梅干し、梅ジャム用。

販売前の”保存”をちょっと工夫すると、
真っ黄色で芳香の良い梅になるんですよ。

お客様に販売するとき、漬け込み日をまずお伺いいたします。
買ったその日に漬けるのか、次の日か、
硬めがお好み?柔らかめ?等々、ここが重要!

お客様のイメージを感じられるかどうかというのが、これまた難しい。

ここでも1%の勘と99%の経験がものをいいます。
(はずれることもありますが・・・精進せねば。)

6月3日 漬け込み開始

今年の梅干し作りを占う重要な日なので、大安を選択(昔気質?)。
梅のコンディションも、自分の体調も絶好調、腕がなります。

まずは梅のへた(なり口)を取ります。
手間はかかりますが、美味しい梅干しを作るには、
労力を惜しんではいけません。

食べたときに口の中に残りますし、
渋みというか変な味が梅干しに残ってしまいます。
手慣れてくると10kg10〜15分ぐらいで出来ます。

集中して手先を見ているので、目がしょぼしょぼ。
へた取りが終わったら灰汁抜きのため水につけます。
この時間も、種類や熟度によって判断します。

灰汁抜きが終わったら、ざるに上げて自然乾燥。
この間に漬け込む樽を焼酎で消毒、準備完了。
「上手く漬かりますように」と心の中で呟きながら、
一握りの塩を樽にふります。

梅がつぶれないように、一並べ、二並べ。
樽の上部に行くほど、塩の分量を増やします。
最後の塩をふり、重石を載せ、一樽完了。
梅酢があがってくるまで、気は抜けません。

6月4日 梅酢があがりました

梅酢があがれば、一安心。
後は赤紫蘇入荷日まで、そのまま保存です。

早速、本年度一番の梅を試食、香りや酸味は独特です。
これがたまりません。

干す前の梅を食べることが出来るのも、自家製の魅力です。

「あんまり美味しいので、干す前に全部食べちゃったわ」
というお客様が、毎年いらっしゃいます。
とにかく美味しいです。
ぜひ一度ご賞味いただきたいですね(^-^)。

この時に出来る梅酢が、白梅酢です。
即席の漬物を作るときなどに重宝しますよ。

キャベツや胡瓜の塩もみを作るときなど、塩の代わりに使うと、
食欲の落ち気味な夏場は、食欲増進に役立ちます。

6月5日 漬物用のお塩

みなさんは梅干しやお漬物を作るときに、
どんなお塩をお使いですか?
おすすめは”赤穂の天塩”です。

ちょっとお値段は張りますが、
出来上がりの味が違います。

にがりの成分が味をまろやかにして、
コクのある深い味に仕上げてくれます。

特に梅干しの場合、溶けやすい塩を使うと、
梅酢のあがりも早いですし、
減塩で漬けた場合でもしっかりとした塩の味が残ります。

私どものお店では10%の塩分で、梅干しを作っていますが、
減塩と言わなければ分からないほど、
しっかりした味の梅干しに仕上がります。

2年も熟成させると、その違いがはっきりします。キッパリ( ̄∧ ̄)

6月7日 重石

重石は意外に不便ですよねぇ〜。
梅干し以外に使わない場合なら、尚更です。

当店でお勧めしているのが、ペットボトルの有効活用です。
何より正確な重さなので、利用価値大です。

しかも、お庭の石のように、
殺菌にそれほど神経を使わなくていいのも助かります。

2Lのペットボトル1本で2kg。1kgの梅なら1本でOK。
梅酢があがってきたら、中の水を半分にしてそのまま使えます。

土用干し後は、梅酢を保存するのにも良いです。
初年度は酸味の強かった梅酢も、
一年ほど寝かせると、角が取れて柔らかい味になります。

使い終わったらリサイクルへ(^-^)
”ちょっと地球に優しい梅干し作り”です。

7月8日 漬け込み完了

ようやく、本年度の漬け込みが終わりました。

今年は、南高梅も質が良く、熟度の高いものが仕入れられたので、
土用干しが楽しみです

今年の土用は7月20日(海の日・祝日)ですね。
例年通り梅雨明けしてくれれば、助かるのですが・・・。
ここのところお天気が続いているので、
このままで行けば、晴れるでしょう

今年から埼玉県越生の梅が”南高梅”として、入荷されました。
色・実の質共に、南高梅です。でもちょっと香りが薄かったです。

漬け込んで梅酢のあがったものを味見してみました。

とってもフルーティーで、美味しく漬かりましたよ。
漬け込んでみたら、香りも良くなりました。

7月15日 土用干し開始

今日は快晴!からっとした暑さです。
土用干しには絶好のコンディション!

早速樽出し、竹籠に並べて干し始めました。

”土用干し”・・・暦の上で”土用”に当たる日の前後2〜3日から、
三日三晩(現在の品種では2日程)梅を干すことをいいます。

お天道様の恵に感謝しながら、好みの堅さに仕上がるように、
炎天下の下、意識朦朧としつつ、
独特の芳香に思わずヨダレが・・・。(^▽^;)

新漬けならではの”味”・”香り”・”酸味”!
この時期ならではの美味しさですね!(^^)!。


我が家の好みは”梅干し”
・・・「干し上がったら、樽に積み重ねて熟成」です。

お好みで”梅漬け”・・・「いったん干した梅を、梅酢の中に漬け戻す」や、
「干さないでそのままいただく」というのもありますよね。
熟成にもいろいろあって、樽や壺で保存し、
密閉せずに寝かせるものや、密閉できるガラス瓶などで、
水分が飛ばないように、保存する方法もあります。

個人的には、前者がおすすめ。2年も寝かせると、適度にしっとりとして、
美味しい梅干しになりますよ。お試しあれ。

7月30日 土用干し終了

ようやくお店の土用干しが終わりに近づいてまいりました。
今年の漬け込み量は400kg程。これから熟成させます。
熟成と言っても、あとは梅任せです。

樽の中で1年2年と寝かせて、
梅の肌の色が茶褐色になってきた頃が、いい時期です(^-^)

今年の日記は、ここで終わりです。
最後までご覧いただきありがとうございました。


最後に:ご訪問してくださった皆様、
E-Mailでお手紙をくださった皆様、たくさんの方々のご意見ご感想、
ありがとうございましたm(_ _)m
あまりにも反響が大きくて筆者は驚いております。


筆者自己紹介:筆者は東京都杉並区、
JR荻窪駅から徒歩5分程の教会通り商店街で青果店を営んでおります。
18で家業の手伝いを始め、現在でも見習い一号です。(^▽^;)

春は竹の子茹で係、夏は梅干し職人、秋から冬にかけて
焼き芋職人をやっております。

青果店という枠にとらわれずこれからも様々な
情報・文化を発信し続けて行きたいと思っています。

1999年7月30日 鈴木伸一郎

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| 荻窪 鈴木青果店の梅干しちょっと良い話  | 1998年11月26日開設
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